細胞診専門医とは
細胞診専門医は、がんの予防および治療に必要とされる細胞診の専門的知識、技能、態度を有し、自らが行う臨床実務のみならず、精度管理や細胞検査士等の指導・育成など幅広い活動を通じて国民の福祉に貢献する医師を指します。この資格は、日本臨床細胞学会が認定し、診断の精度向上と病理診断医療の発展を目的としています。
主な役割と職務
1:細胞診断の実施と評価
細胞診専門医は、細胞診検体(例:子宮頸部、体液、穿刺吸引細胞など)を正確に診断し、悪性腫瘍や感染症、その他の病変の早期発見に貢献します。
2:細胞検査士との連携
細胞診専門医は、細胞検査士と協力して検体の評価を行い、より正確な診断結果を導きます。この連携により、検体の適切な取り扱いや診断の質の向上が図られます。
3:細胞診断実務に関する医師、歯科医師、並びに技師の教育・指導
細胞診専門医は、医師や細胞検査士をはじめとする医療従事者に対して、細胞診断の教育や指導を行い、診断技術の普及と標準化を推進します。
4:細胞診専門医並びに細胞検査士の社会的地位向上のための事業
がんをはじめとする病気の早期発見や診断の重要性を広く知ってもらうことを目的に、学会での市民公開講座や啓発活動、また、地域連携組織を通じて、細胞診専門医並びに細胞検査士の専門性や社会的貢献をわかりやすく伝える取り組みを行っています。これにより、医療現場を支える重要な役割が広く認識されることを目指しています。
細胞診専門医になるには
細胞診専門医資格認定試験を受験するには、以下の受験資格を満たす必要があります。(2024年11月時点)
- 医師、歯科医師資格取得後5年以上の者。
- 本法人及び関連学会において細胞診断学の研修を受けた者で、研修期間(会員歴)は本法人で3年間以上を原則とする。
ただし、日本病理学会専門医、日本産科婦人科学会専門医などの日本専門医機構で定めた基本領域18学会の専門医及び総合診療専門医については、研修期間(会員歴)2年で受験可能とする。
歯科については会員であれば受験資格を認め、当面の間研修期間(会員歴)は問わないものとする。 - 細胞診断学並びに細胞病理学に関する論文3編以上をもち、その内1編は筆頭者であること。
発表論文は論文査読制の執られている学術誌で発表していること。なお、日本臨床細胞学会雑誌およびActa Cytologicaに投稿された論文については、論文2編に該当するものとみなす。 - 本法人活動の顕著な実績及び教育委員会の主催するセミナー参加は細胞診専門医委員会の審議を経て非筆頭者論文1編に該当するとみなす。
試験内容
筆記試験、印刷物による細胞診断試験及び検鏡試験を行う。
いずれも細胞診専門医教育研修要綱に準拠した内容である。
出題内容
- 筆記試験:
細胞診に関するすべての事項が対象となる。 - 印刷物による細胞診断試験:
細胞診の対象となるすべての領域が対象になる。出題内容は細胞診断における基礎的問題とし、教育委員会で実施している細胞診断学セミナーで教育される内容を基準として出題される。
※細胞診断学セミナーでは細胞診専門医教育研修要綱(第二版)の内容に沿ってカリキュラムを作成しています。 - 検鏡試験:
医師は総合科、歯科医師は歯科口腔科を選択しなければならない。
解答形式
筆記試験、印刷物による細胞診断試験及び検鏡試験は、原則として解答多肢択一とする。
配点
100点を満点とする
- 筆記試験:25点
- 印刷物による細胞診断試験:25点
- 検鏡試験:50点
合格条件
筆記試験及び印刷物による細胞診断試験25点以上、検鏡試験30点以上で合計70点を超える者を合格とする。