公益社団法人日本臨床細胞学会 理事長 佐藤之俊
(北里大学医学部呼吸器外科学)
この度、2021-2022年の公益社団法人日本臨床細胞学会理事長を拝命いたしました佐藤之俊(さとうゆきとし)です。理事長二期目の就任に際し、皆さまに改めてご挨拶申し上げます。
私は、1986年に本学会に入会し細胞診の道に入りました。そして、癌研細胞診断部の皆様を中心にご指導をいただき、1991年から細胞診指導医(現専門医)として診療と研究に励んでまいりました。この学会にお世話になってから早35年の年月が経過しましたが、この間多くの先輩、同輩そして後輩の皆様のお世話になり、広く細胞診と学会運営を学んできました。
本学会は2013年に公益社団法人化を実現し、公共の利益を担う立場と位置づけられました。そして、この法人化を出発点として名実ともに認められた学術団体へと発展を遂げましたが、それを維持し社会に貢献していく必要があります。2019年に理事長を拝命した私に課された使命は、本学会を引き続き躍進させるために、明確な将来像を示し、それを実現していくことだと考えました。そのために目指したのは、① 医療の現場を支えること、 ② 積極的な研究活動の支援を行うこと、③ 細胞診に関する情報を発信すること、の3点でした。第二期目もこれらを目標として掲げます。
まず、①医療現場を支える点については、新型コロナウイルス感染の世界的拡大を受け、2020年5月に「新型コロナウイルスによる業務への影響についての緊急実態調査」を行いました。その結果、検診を含め細胞診も様々な影響を受けていることがわかりました。2021年も1年経過した状況を把握するためのアンケートを行い、影響の持続や内容を解析します。また、国立研究開発法人国立がん研究センターより「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版」が公開されたことを受けて、会員に対してこの「更新版」の内容に関する声明を公開しました。このように、今後も学会として医療や社会の状況を注視し必要に応じた発信を行いたいと思います。
次に、②積極的な研究活動の支援を行うことについては、細胞診分野の研究課題に対する種々の助成を行い、いずれも成果を挙げています。具体的には、「がんゲノム診療における細胞診形態の取扱い指針」の作成と公開、特別学術研究として細胞診の学術研究を推進するための支援などを行いました。これらの成果は順次ホームページに公開されており、皆様の活用を期待します。このように学究的研究や調査の活動は本学会や細胞診の将来の基礎となり財産となりますので、今後も継続して支援していきたいと考えます。
そして、③細胞診に関する情報を発信することに関しては、「日本臨床細胞学会雑誌」の内容と電子化された学術雑誌のあり方を見直し,さらに投稿規定やカテゴリー等を検討することによって、投稿数増加や論文の質を高める方策を講じ始めました。第二期目では、これらに対しスピード感をもって推進します。
新型コロナウイルス感染、デジタル化、あるいはAIなど、医療をめぐる環境は急速に変化しており、将来展望を描くのが一層難しくなっています。こうした時代であっても、日本臨床細胞学会が細胞診を通じて人々の健康維持に貢献し、医学・科学を追及する集団として期待され、発展し続けていくために、二期目も皆様と共に進みたいと考えます。本学会会員そして関連する皆様の益々のご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。
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